気候危機を一世代で
終わらせるために
今、私たちにできること
気候危機を予感させる変化を、肌で感じたことはありますか?ニュースで見たり聞いたりしたことはありますか?そのときあなたは、どんな気持ちだったでしょう。怒りや不安を感じたでしょうか。大したことはないと、軽くかわして自分をなだめたでしょうか。いずれにせよ、明るい気持ちになった人は少ないでしょう。
解決策が見えない問題は、ともすれば私たちを落ち込ませます。現実と向き合うためには、互いに連帯するためには、そして前を見て進んでいくためには、指針が必要です。
このサイトは、そのために存在します。
私たちが作ろうとしているのは、気候危機を一世代で終わらせるための、最も頼りになる解決策リストです。
気候危機の一番の問題は、世界中のほとんどの人がいまだに関われていないことです。必要なのは、人類全体を巻き込みながら前へ進む道。個人、コミュニティ、企業、行政など、あらゆるアクターが抱える「気候危機を終わらせるために何ができるだろう?」という問いに答える、包括的で具体的な解決策です。
決断し、行動する。
その中心に生命への信頼と
尊敬を置く。
Nexus は、つながりや結節点、集合、核心という意味があり、「再生(リジェネレーション)」という考え方に基づいています。このアプローチは、人々が協力し、すべての生命のあるがままを尊重する生き方を選ぶことで、生態系の回復を促し、本来その循環の一部だった私たち自身の暮らしを、より自然と調和したかたちで発展させることを目指すものです。
見つめるべきは、温室効果ガスの削減量や、炭素の隔離量だけではありません。自然や人々に対する公正性や、一人ひとりの持つ影響力についてなど、意識するべき重要な視点は、行動についての6つの枠組みと12の問いで紹介しています。
行動の枠組み Frameworks for Action
私たちが提案する気候危機の解決策には、6つの基本的な枠組みがあります。各カテゴリーは多くの点で重なり合っていますが、それぞれに様々なレベルの発見と革新、ブレークスルーがあります。
公平性 Equity
自分を、互いを、自然のすべてを公平に扱う。
公平性は、あらゆる対策の指針です。私たちが行うべきことはすべて、ここからはじまります。公平性は、他者を、自分自身を、生きとし生ける世界を、私たちがどう扱うかという社会システムに関わっています。地球は、瞬く間に作り替えられてしまいました。もしも危機的な気候を変えようとするなら、私たちは自分たち自身も今すぐ変えなければなりません。時間が重要なのです。
社会は、生態系と同レベルのケアや注意、やさしさを求めています。両者は比較できませんが、切り離すこともできません。環境は、私たちが文化や信仰、肌の色の異なる人たちに振りかざす暴力、不公正、無礼、危害をそのまま映し出します。つまり、人々がよりよい生活を生み出すのを手助けすることは、自然を救うことにつながるのです。
削減 Reduce
炭素の排出量、エネルギーや資源の使用量などを削減する。
世界の温暖化ガス排出量を逆転させる一番の解決策はシンプルです。大気中に排出することをやめればいいのです。これは最も困難なチャレンジですが、最大の経済的チャンスでもあります。
炭素を排出する化石燃料の消費量は驚くべきものがあります。世界は毎日、1億バレルの石油を、2,100万トンの石炭を、100億立方メートルの天然ガスを燃やし続けており、合計で年間340億トンのCO2を排出しています。
「削減」は、農業、フードシステム、輸送といった産業活動、森林や生態系の破壊、砂漠化からの排出に終止符を打ちます。風力やソーラー、エネルギー貯蔵、小規模電力網による再生可能エネルギーの実装は極めて重要で、自然保護とのバランスを取りながら進めていく必要のある対策です。同様に重要なのは、エネルギーと資源の使用量の削減です。解決法として挙げられるのは、電気自動車、自転車のようなマイクロモビリティ、歩いて暮らせる都市設計、木材などの炭素でできた建物、建物の電化、食品ロスの最小化、そして次のカテゴリーである「保護」です。
保護 Protect
豊かな生態系を保護する。
保護は、さまざまな意味で「守る」ことを指します。陸域の生態系には、地上と地中で合わせて3.3兆トンの炭素が存在しています。これは、大気中の4倍に相当する量です。炭素は、森林、湿地、草原、マングローブ、農地や放牧地に含まれています。私たちは、これらを地中や地上にとどめておかなければなりません。
毎年、生態系の一部は劣化したり、開発・転用されたり、失われたりしています。比較的小さな割合ではありますが、積み重ねが問題です。生態系が破壊されると、地下や地上のさまざまな動植物が死に、その結果CO2が放出されます。もし仮に、陸上の生態系の10%が失われれば、大気中のCO2濃度は100ppmも増加する可能性があります(2023年現在の濃度は420ppmほど。CO2濃度が2倍になると、気温は0.8〜1.2度上昇する。)
隔離 Sequester
大気中の炭素を、海や地上の生態系に取り込む。
何億年も前から機能してきた、自然の炭素循環があります。炭素は大気との間を出入りします。森林、植物、植物プランクトンはCO2を取り込み、酸素と炭水化物に変換します。私たちの炭素排出のおよそ25%は、海に吸収されて魚や海藻、海洋哺乳類、貝、そして骨に取り込まれますが、ほとんどは炭酸に変わることで、海洋生物をゆるやかに死に追いやり、死の海へと導きます。
隔離を行うための主な方法は、環境再生型農業、管理放牧、手付かずの森林を再生すること、新規植林、劣化した土地の回復、マングローブの植林、湿地の復元、そして今ある生態系を保護することです。よく口にされる「ネット・ゼロ」という言葉はゴールではありません。これは、世界が大気中の炭素を産業革命以前の水準まで削減しはじめる、スタート地点に過ぎないのです。
影響力 Influence
法律・規制、業界団体や、そこに働きかける個々の力。
影響力には、法律、規制、補助金、政策や建築基準などが含まれます。たとえば、プラスチック袋の使用をやめることもひとつでしょう。使い捨てプラスチックは禁止するほうがよいからです。
私たち一人ひとりが、自らのおよぼす影響について考え変えていこうと努めると、衰退をもたらすプロセスや商品、サービスの原因が見えるようになってきます。汚染、劣化、プラスチックの問題を下流で解決することはできません。原因は上流にあり、そこにこそ影響をおよぼす必要があります。学校や都市、企業の購入指針を見直すことは、ひとつの始め方です。影響力は、企業や業界団体、行政に意見を伝えることでも行使できます。時には、不買運動や抗議のかたちをとることもあるでしょう。一人ひとりが、声をあげることができます。その声が「私たち」の声になったとき、変化は起こります。
支援 Support
変化を手助けしたい地域や分野を支援する。
気候、社会問題、環境のあらゆる分野において、時代を先駆ける変化の担い手となれるような組織が存在します。Nexusの「行動+つながり」にあるリンクは、世界中で真の再生を行なっている組織や、限られたリソースで活動するリーダーたち、本来は政府や大企業が取り組むべき並外れた活動に取り組む人々のリストになっています。Nexusのリストは、場所や生態系、生物種、社会正義、食、汚染、水などに特化しており、ここでは、あなたが変化を後押ししたい地域や分野に当てはまるものが簡単に見つかります。
12の問い
ワンジェネレーションは、以下の原則を中心において活動しています。
- その行動は、より多くの生命を生み出すのか、それとも減らすのか?
Does the action create more life or reduce it? - 未来を癒すのか、それとも未来を奪うのか?
Does it heal the future or steal the future? - 人間のウェルビーイングを高めるのか、それとも損なうものなのか?
Does it enhance human well-being or diminish it? - 病気を防ぐのか、病気から利益を得るのか?
Does it prevent disease or profit from it? - 生計手段を生み出すのか、それともなくすのか?
Does it create livelihoods or eliminate them? - 土地を回復させるのか、劣化させるのか?
Does it restore land or degrade it? - 地球温暖化を進行させるのか、それとも減速させるのか?
Does it increase global warming or decrease it? - 人間のニーズを満たすものなのか、それとも人間の欲求を満たすものなのか?
Does it serve human needs or manufacture human wants? - 貧困を減らすのか、拡大させるのか?
Does it reduce poverty or expand it? - 基本的人権を擁護するのか、それとも否定するのか?
Does it promote fundamental human rights or deny them? - 労働者に尊厳を与えるものなのか、それとも労働者を貶(おとし)めるものなのか?
Does it provide workers with dignity or demean them? - つまり、その行動は、搾取的なのか、それとも再生的なのか?
in short, is the activity extractive or regenerative?
気候危機は深刻です。けれど、その解決策はすでにあります。
私たち一人ひとりにできるのは、些細なことでしかないように思えるかもしれません。しかし一番大切なのは、それをやることです。私たちのアクションとつながりで、「再生」的な世界への変化を後押ししていきましょう。
コンテンツについて
Nexusの各項目は、「私ができること」と「みんなで取り組むべき課題」で構成されています。「私たちの目標」で概要を理解したら、まずは「アクションリスト」から、自分個人ができることを見つけてみてください。そして「団体」や「企業」、「政治・法律」の欄に、自分の所属するコミュニティを見つけた人は、ぜひ折りたたみを開いて、組織としてできることにも思いを致してください。
「変化が求められる主体」は、誰かひとりの力では変えられない大きなテーマを取り上げています。みんなが変わらなければ克服できない、けれど乗り越えられれば、自然や社会により大きな影響力をおよぼすことができるテーマについて、自分のいる場所でできることを考えましょう。
「より深く知る」は、きっとそのための助けになります。
みんなで作る「私たちのリスト」
Nexusは、ひとりでも多くの人の力になることを目指しながら、日々成長を続けていくリストです。このリストに加えられる情報は、グローバル版に掲載されているものや、チーム・ネクサスが調べたものばかりではありません。みなさんが共有してくださる知識やアイディアも、気候危機解決の輪を日本で広げていく、大きな助けになります。
あなたの中にある知恵をぜひ、私たちにわけてください。
いただいた情報は、チームネクサスが6つの枠組みと12の問いを基に責任を持って掲載判断をします。また、あなた自身が自分の得意を活かしてプロジェクトに関わってくださることや、専門家をご紹介いただくことなども、私たちを力づけるありがたいご支援です。情報共有や、ネクサス・プロジェクトへの参加のご希望は「情報提供をする」からお願いいたします。
一緒に、私たちのリストを育てていきましょう。
ALL NEXUS
*日本版公開準備中のページは、グローバル版ネクサス(英語)のサイトへリンクしています。
⚫︎より積極的に推進・保護する必要があるもの
⚫︎現状を変えていくべきもの