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5月24日 Dive into Regeneration 2 基調講演イベント 開催のご報告

5月24日にJT生命誌研究館名誉館長中村桂子さんをお迎えして「Dive into Regeneration 2~生命の視座で、社会のシステムを見つめ直す」の基調講演会を開催しました。 新宿の会場とオンラインをつなぎ、ハイブリッドで実施。会場参加30名以上を含む100名を超える方にご参加いただきました。

講演概要

講演で中村さんは、「命を基本にする」という考えは、幼稚園児でも知っている当たり前のことなのに、今の社会はそうなっていない。特に、第二次世界大戦の経験から二度と戦争はしないという世界中の思いが込められた日本国憲法があるにも関わらず、豊かさや幸せを追求する中で命を大事にすることと合わなくなってしまった原因の一つとして、科学技術があるのではないかと述べられました。

さらに、その科学の立場から「命を大切に」ということを、きちんと考えて提言していく必要性や、現代社会は、一人ひとりが「本当に大事なこと」を自分で考えなければならない時代を迎え、それは他人に言われたりお金のためではなく、自分の心の中で考えるべきことだと示してくださいました。

また、こうしたことを考えるのは宗教や哲学だけでなく、現代では科学が担うべき時代だとおっしゃっていました。

生命の40億年を描いた生命誌について、その誕生プロセスや意味するところをご説明いただき、人間は、この多様な生き物の世界の中にいる一員であり、「生き物の中からの目線」で考えるべきだとお話しされました。そして「生き物として生きる」をベースにした社会、小さな生き物を大切にする社会の実現への願いを語られました。

トークセッションなど

続くトークセッションには、ワンジェネレーション代表の鮎川が加わり中村さんの著書「人類はどこで間違えたのか」を紹介するとともに、「生きものとしての土木」にかかわる意味深さなどについて語り合いました。

また、「人間と自然」のように、物事を「と」で区切る考え方(分断)について疑問を呈し、本来は全てがつながっているのだという考え方を述べられました。科学と社会の関係についても、「サイエンス・アンド・ソサエティ(と)」ではなく、「サイエンス・イン・ソサエティ(の中に)」と捉えるべきだと例を挙げられました。

会場とオンラインからの寄せられたいくつもの質問にもお答えいただき、講演は終了しました。

講演終了後の会場では、中村さんを交えた交流会を行い、膝を突き合わせてグループで話し合う場が設けられました。

最後に、6月25日から開講する連続講座「Dive into Regeneration 2~生命の視座で社会のシステムを見つめ直す」について鮎川代表からの説明の後、閉会しました。

参加者の感想

・あっという間の講演でした。リアルだからこそ中村先生と対話できたのは、非常に嬉しかったです。

・生命を科学の観点から考えるという視点に触れられて、人間も自然の一部という直感的に感じていた考えが、データで補完された気がします。学び多きとても有意義な時間でした。ありがとうございました。

・先日は、貴重な時間をつくってくださりありがとうございました。いつかお目にかかりたいと願っていた中村桂子さんと、間近にお話しを伺うことができ、言葉から、存在から「生きもの」の愛おしさをかんじることのできた素晴らしいひと時でした。

・サイエンスの視点からみた自然界のほんの一部である人間の在り方、生きものとテクノロジーの違いと共存のお話しは、生きものである自分自身への優しさを受けとれたとも思います。

そして、尊敬してやまない志村ふくみさんのお話に触れられたことも大変心動かされ、やはりわたしの大切にしたい世界は「ここにある」のだと実感しました。

・中村先生の言葉はどれもそうだなと自然に受け取れる言葉ばかりでした。きっと先生がこれまでの人生で発見したことや感じたことを言葉にしてくださっているからだと思います。

そんな中で最も印象に残ったことは、人間も含めた生きもの全てが、40億年積み重ねてきたそのものが今ここに現れているのだということ。すべての生きものに歴史があることに気づいた時に、そこには感謝と今ここに集えている奇跡を感じ、全ての生きものとのつながりを深く感じることができました。

・すべての生命が健やかにー思い切り生きる ・じんわりと命の温かさ、優しさ、愛を感じる時間でした。加速主義の現代の生活のお話しも身につまされました。

▲交流会の様子

開催概要

タイトル:Dive into Regeneration 2 基調講演イベント 〜「生命」としての視座に触れる〜 中村桂子さんご登壇
日 時:2025年5月24日(土)10:30〜12:30
会 場:東京・新宿の会場とオンライン配信とのハイブリッド
プログラム:
1.基調講演 Dive into Regeneration 2 基調講演イベント 〜「生命」としての視座に触れる〜
JT生命誌研究館名誉館長 中村桂子様
2.連続講座「Dive into Regeneration 2」のご案内  詳しくはこちらから 
3.会場参加者限定 交流会

講師ご紹介

中村桂子 JT生命誌研究館名誉館長
1936年東京生れ。東京大学理学部化学科卒。同大学院生物化学博士課程修了。理学博士。
三菱化成生命科学研究所部長、早稲田大学教授、東京大学客員教授、大阪大学連携大学院教授を歴任。
「人間は生きもの」という事実を基本に生命論的世界観を持つ「生命誌」を構想。1993年「JT生命誌研究館」を創設し副館長。2002年館長、現在名誉館長。著書に「科学者が人間であること」(岩波新書)、「科学はこのままでいいのかな」(ちくまQブックス)、「中村桂子コレクション8巻」「今地球は?人類は?科学は?」(藤原書店)「人間はどこで間違えたのか」(中公新書ラクレ)など
JT生命誌研究館 https://www.brh.co.jp/

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